Accurisのプロダクトおよびテクノロジー担当シニアディレクターであるマイク・アーノルドが、デジタルスレッドやモデルベースシステムズエンジニアリング、そしてそれらにおけるAIの重要な役割について解説します。 動画の全編はこちらからご覧ください または、以下にマイクの回答の要約をご覧ください。

業界をリードする人工知能の専門家であるマイク・アーノルドは、最先端の技術を通じてエンジニアリング企業が直面する主要な課題に取り組むとともに、AIをはじめとする新興技術の利点と限界についての理解を深める役割を担っています。
マイク、デジタルスレッドとモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)とは何か、またそれらが現在のエンジニアリング環境においてなぜ重要なのかを簡単にご説明いただけますか。
まずMBSEから始めましょう。MBSEは15年以上前から存在していますが、技術の進展に伴い導入が大きく進んでいます。MBSEとは、従来の文書ではなくモデルを用いて、システムの定義、設計、管理を行うエンジニアリング手法を指します。
例えば自動車の設計を考えてみてください。仕様書を紙の文書でやり取りするのではなく、エンジニアはエンジンの配置、ドアの接続構造、電気配線部品が車両内にどのように組み込まれるかをモデル上で確認できます。これにより、より正確な意思決定が可能となり、コスト削減やエラーの低減、さらには製品ライフサイクルの短縮につながります。
デジタルスレッドはMBSEの重要な要素の一つです。デジタルスレッドとは、製品ライフサイクル全体にわたるデータと情報を統合する枠組みを指します。これは、データをつなぎ合わせ、MBSE環境で作業するエンジニアにリアルタイムの洞察を提供する役割を担います。
AIは今や至る所に存在しています。特にエンジニアリング組織にとって、AIとデジタルスレッディングの組み合わせはどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
AIは、これまで困難だったデジタルスレッドの作成を可能にしてくれます。
文書中心のエンジニアリングプロセスから、モデルベースのエンジニアリングプロセスへ移行することを考えてみてください。そのためには、テキスト形式の情報を、PLM、ALM、モデリングシステムが理解できるデジタル情報へ変換する必要があります。AIは、非構造化データをこれらのシステムで利用できる半構造化データや構造化データへ変換することができます。また、AIを活用すれば、大量のデータを短時間で処理し、機械が読み取れる形式のデータとして利用可能にすることができます。
設計の観点からAIとデジタルスレッドのプロセスを一体的に考えることで、設計プロセスの最適化が図れます。
例えば、部品データベースと連携し、この部品を別のものに置き換えたらモデルにどのような影響が出るのかを、その場で確認しながらトレードオフを検討できるとします。そうした予測分析を可能にするには、AIの技術だけでなく、意思決定に必要な情報をそのモデルに結び付けるためのデジタルスレッドも欠かせません。
保守の観点では、航空宇宙分野の予知保全システムが一つの例になります。これらのシステムはデジタルツインを活用し、飛行時間に基づいて、部品交換の時期、オイル交換のタイミング、タービンの点検時期などを把握できます。こうした仕組みにおいて、デジタルスレッドとAIが組み合わさることで、エンジニアリングに大きな価値が生まれます。
デジタルスレッドの導入にあたり、組織はどのような課題に直面し、それをどのように克服できるのでしょうか。
エンジニアが直面する大きな課題はデータサイロであり、それらを活用する方法を見出すことです。
航空業界を例に考えてみましょう。航空機は数十年にわたって運用されます。古い機体の場合、製造当時の情報は紙の文書として記録されていました。現在ではそれらはPDFとしてスキャンされているものの、アーカイブに保存されたままになっています。エンジニアが機体の保守や整備に関する情報を確認したい場合、そうした資料にどのようにアクセスすればよいのでしょうか。これがいわゆるデータサイロの状態です。データが文字どおりファイルキャビネットの中に眠っているのです。
それが何百万もの文書、何十億もの要件という規模になると、状況はさらに複雑になります。こうした膨大な情報を人間が把握し、理解できる範囲には限界があります。
AIを活用すれば、こうしたデータを迅速に処理し、そこから洞察を引き出し、関連する情報同士を結び付けることができます。その結果、対応までの時間が短縮され、業務の効率も高まります。エンジニアは情報の理解に費やす時間を減らし、その分、製品の価値向上につながる重要な判断により多くの時間を使えるようになります。
今後数年間で、デジタルスレッディング、MBSE、AIの交差点においてどのようなトレンドが台頭するとお考えですか?
技術が進歩し、そのメリットを製品ライフサイクルの中でより活用できるようになるにつれて、設計の改善や最適化をこれまでよりもはるかに速く進められるようになります。設計を何度も素早く繰り返し見直しながら、最適な製品に近づけていくことを考えてみてください。こうした取り組みを可能にするうえで、AIは大きな役割を果たします。
リアルタイムのデジタルツイン(製品、システム、プロセスを再現したデジタルモデル)は、今後さらに発展し、リアルタイムでの重要な意思決定を支えるとともに、問題の発生を未然に防ぐことにも役立つようになります。
こうした処理能力を活用できる範囲が広がるにつれて、高度な分析とそれが製品に与える影響をより深く把握できるようになります。意思決定に必要な情報もこれまで以上に迅速に利用できるようになり、判断のスピードもさらに高まっていきます。
現在は、企業が導入できる速度よりも速いペースで技術が進歩している状況にあります。将来には大きな可能性が広がっていますが、その一方で、技術の進展に追いつくこと、適切な形で導入すること、そして期待する成果を確実に得ることが課題となっています。
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